第98章 ambivalence
side.A
オレは彼のことが好きでした。
笑うときの、困ったような顔が大好きでした。
穏やかで和やかで、そんな彼が愛おしかった。
けれども、本当に困ったことがあったんです。
弱りきってしまうんです。
オレは、彼の笑顔で好きで。オレがそうしたくて。
だというのに、それ以上に、泣き顔が好きになってしまいました。
あなたがオレの言動で泣いてしまえばいい、と。
そう思うようになっていたんです。
ごめんなさい。すみません。言い訳はしません。
だって、何が悪いか、分かんない。