第74章 嵐の街
物語のあらすじは
息子を殺されたFBI捜査官が犯人を追い詰めた末に遂に逮捕。しかし犯人はロサンゼルスにウイルス爆弾を仕掛けていた事が発覚したのだが当の犯人は植物人間になっており、移植手術でFBI捜査官と犯人が顔を入れ替え潜入捜査して………
というハラハラドキドキのアクション物だ
彼とアクション物の映画を見るのは初めての事だがやはり血が騒ぐ様で構えた針が怖い…………
「イルミさん………針………」
私が声を掛けようともヘッドフォンで無意味
私は躊躇しながらも上半身裸の彼の肩を緩く叩く
彼は、解ってるよ、とヘッドフォンをずらす事無く答えるが内心ヒヤヒヤとしたまま映画は終了した
「俺ならもっと楽に終わらせられるんだけどな」
「………あはは」
彼の感想は常人とは違う
アクション映画を見て私なら死んでるなぁ……とは思っても好転するとは思えない
何度も死線を潜り抜けた彼ならではの感想に乾いた笑いを返した私をどうか許して欲しい………
映画を見ている間に5杯程飲んだだろうか私はすっかり瞼が重くなっていた
時刻は深夜2時過ぎ
私は未だ寒さを感じつつも最初を考えれば随分マシだとブランケットを強く引き寄せた
「すみません、眠いから寝て良いですか」
再びマウスを操る彼を横目に見つつスニーカーを脱ぎ捨ててソファーの上で三角座りをする
「おやすみ」
画面から目を離さず発された言葉にゆっくりと瞼を閉じた
___________"
目を覚ますと普段と違う景色に違和感を覚え、昨日の経緯を思い出す
そして私が伸び伸びとソファーを占領して横になっている事に気付き恐る恐る見上げると彼のぱっちりと開いた瞳と目が合った
「おはよう」
「おはようございます……」
(………!!うぉぉい…………!!!待って……………私…………)
右手に触れる物体を触ってみる
温かいながらも硬く引き締まった筋肉を布越しにはっきりと感じる