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似てる私たち

第3章 いずっくんとの新しいお友達


それからと言うものかっちゃんはよく遊びに来た。
朝からきてお昼で帰り、お昼からまたきて夜に帰る。そんな日が続いたある日。
一本の電話がなる病院からだ。何故か私はその電話を取りたくなかった。凄く…嫌な予感がした。
仕方ないので取ることにしボタンを押す。
ピッ…と無機質な音が響いたと同時に聞こえてきたのは絶叫…母の声だ。いつも穏やかな母の声ではない。まるで人が変わったかのような声…耳をつんざくような音のなかで私に話しかけてきたのは父の担当のお医者様だった。

…私の勘はよくあたる。嫌なことに聞かされたのは悲報…父が死んだとのことだった…少しぼんやりとしながら込み上げてくる何かを無理矢理に押し殺す。遠くで母の声がするしかし数個だけ鮮明に聞こえる。

「オールフォーワン」と「殺す」と言う単語。
いつも穏やかな母の声ではない。明確な殺意がある声だ…。
母も昔はヒーローだった。だが怪我をする母を見たくないとの事でやめさせたのは父だった。
呆然と立ち尽くす、お医者様は淡々と話を続ける。
母の声がやむ。どうやら薬を打たれたらしい。
幾らかの慰めの言葉をかけられ、通話が切れる、ツー…ツー…と響く音のなか私はバタン、と座り込む、音を聞いて入ってきたのはいずっくんとかっちゃんだった。

緑「風水ちゃん?大丈夫?」
爆「どうかしたのか?」
『あっ…うっっ…っ』
私は言葉を発しきれずに泣き出してしまった。すると二人はぎょっとしていずっくんはお母さんを呼んでくるといい駆け出し、かっちゃんはビックリした顔をしつつも私に寄ってきて珍しく優しい声で話しかける。

爆「…なにかあったか?」
『はっ…ひぅっ…』
爆「…ゆっくりでいいかんな」
すると背中に腕を回されたぎゅっと抱き締められる。
すると驚いたことにひどく落ち着いた。同時に我慢したものが全部漏れだした。
父が死んだこと、母がおかしくなっていたこと。どうしたらいいかわからないこと。
ゆっくりではあるが一つずつ話す。話してるときはあいづちだけうちなにも言わずに聞いてくれた。
話終え、ゆっくりと顔をあげるすると何時もでは考えられないぐらい顔を歪めたかっちゃん、その後ろから聞こえるすすり泣く声、いずっくんといずっくんママもボロボロと泣いている。
そこで私は急な眠気に襲われ意識を手放した。
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