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Fortuna【ラッキードッグ1】

第7章 女神の軌跡(6)


「…何年前のオハナシ?」

「たしか…2〜3年前?それほど昔でもないじゃない」

「もうしねぇって。2〜3年も経ちゃ人の考えなんて変わんのよ、トゥーナさん」

「それなら、いいんですけどねー」

「…ったく……普段ベタベタしてくるクセに…いざとなると全然、なんだモンなぁ……」

「なぁに?」


なにか小さくブツブツ呟いていたから聞き返すと、ジャンは「なんでもねぇ」と言ってわたしの太股に頭をのせベッドへ横になってしまった。

いいんだけど…顔の前にお腹があると息苦しくないかな。


「ジャン、顔逆向きの方がよくない?」

「こっちのが、お前とくっついてられンだろ?こうして…」


ジャンの腕が腰に回り、ギュウと苦しくない程度に締めつけてくる。
幼い子供みたいな動作に、クスッと笑いがこぼれた。


「小さい子供みたいですねー、ジャンくん。かわいい」


きれいな金色の髪を指ですくように撫でる。
これで、ちゃんと定期的に洗ってくれたら言うことなしなのに。
せっかく極上の素材をもっていながら磨かないなんて…これが宝の持ち腐れってやつか。


「ジャンカルロくんは25歳なんですけどぉ」

「うん、知ってる」

「だーからぁー…」

「わっ…!」


急に起き上がったジャンに肩を押され、呆気なくバランスを崩した体は背中からベッドへ倒れこむ。

ジャンは慣れた動作でベッドからはみ出したわたしの足を引き寄せると、自分の足と交互に挟み上から覆い被さってきた。


「こういう事も、しちゃったりするよ…ってな」

「…いきなり、びっくりしたじゃない……重いから退いてくださいジャンくん」

「んー、ヤだっつったら…?」

「やだって言われても…今日はどうしたの?」

「どう、って?……ん、ちゅ…」


本当にどうしたんだろう……今日のジャンはちょっと変だ。

口にキス…はまぁいいとして、口説き文句にも似たことをわたしに言うし、人の指を噛むし押し倒すし、今だって首にキスしてくるし。

うーん………うん、ひとまず止めよう。これ以上はアウトな気がする。
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