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【文スト】対黒・陰

第16章 暗雲


「暫く休んで安静にーーーと云いたいところなんだけどねえ」

「いえ。痛みは『無い』ので大丈夫です」

「そんなっ…!」

中也の返事に反応したのは山吹だった。

「そんな大怪我だったのに休まれないお積もりですか!?」

「黙ってろ山吹」

「っ!」

ビクッと肩を上げて黙る。
まあまあ、と場を和ませたのは森だった。

「無理だけはしないように暫くは事務方をやってもらうよ」

「………はい」

「不満そうだねぇ?」

「いえ、そのようなことは……」

「ははん。紬君に借りが出来るからか」

「………彼奴の事だから今頃、嫌がらせの計画を立ててますよ。俺の予定帳は既に彼奴の手中らしいので」

「程ほどにしておくように釘刺しておかないとねえ」

「………無駄ですよ」


中也は頭を抱えて長い息を吐いた。


首領が去ってから暫くして中也の部下2人が入室してきた。
手には真新しいブラウス。


「お。気が利くな手前等」

「中也さぁぁん……!!!」

「本当に…本当によがっだ……ずびっ」

「泣くなよ……男だろーが」


そのブラウスに袖を通し上着を羽織りながら呆れ口調で男達に云う。

「あ?帽子知らねぇか?」

「帽子なら太宰さんが……被って任務に」

「げ。また紬かよ」

中也は寝台から降りて下衣を着替えようとして山吹に気付いた。

「脱ぐけど良いか?」

「っ!?」

山吹は顔を真っ赤にして部屋を出て行った。
中也は面白そうにクックッ笑うと素早く着替えてその後を追った。
それに部下2人も続く。

「俺以外の被害状況は」

「5名程、銃弾が掠り負傷してますが中也さん程では」

「そうか」

「あとは数名、未だ眠っています」

「……矢っ張り催眠ガスでも充満してたのか彼処は」


中也が負傷した原因ーーー
刃物を持った相手が山吹を狙っていることに気付くのが遅れた、そして庇うという行動が僅かに間に合わずに自身を貫いた時、中也の意識は朦朧としていたのだ。
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