第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「ローがそう言うなら大人しくするけど、取り合えず和解に持っていくの?」
二人は暫く話し込んでいたが、そろそろ医院に戻ることになったので王宮を後にした。
「さぁな。そもそも政府が何しに来るか分からねぇし」
「いきなり大砲ぶっ放してきたら?」
「…流石にそれはねぇだろ」
ユーリの考えもありえなくもないが、そんな事をすれば色んな所から反感を買う恐れがある。
政府もそれは分かっているはずだ。
「それなら良かった。せっかく皆楽しそうに暮らしているのに、そんなことされたらどうしようかと心配してた」
ユーリは医院へ向かう途中、賑わっている街並みを見ながら歩いていた。
フレバンスにあった物件はほとんど住み手が見つかっている。
広場で楽しそうに遊んでいる子供達を見ながら、この国を守ることの責任の重さを感じていた。
「他国が手を貸してくれるのはありがてぇが、今後それを使って色々要求されるのも面倒だな」
「そう?周りの国の王様は何だかんだで無理難題は言ってこない気もするけど」
「…お前には言わねぇだろ」
ローはため息を吐くと、ユーリと同じようにフレバンスの街並みを見ていた。
ローも一応国王なので、挨拶や話しかけられたりもするが、当の本人の反応は微妙だ。
今はユーリがいるので代わりに対応してくれるが、意味もなく話しかけてくるなと言いたい。
それは一国の王としてどうなのかと言われるかもしれないが、面倒なものは仕方ない。
まぁそんなところもフレバンス国王の一面だと、最近は街の人々も察してくれているようではあるが。
「あ!なんか出店がある!」
ユーリはローの代わりに国民への対応が終ると、道の片隅にある小さな出店を見つけたようだった。
その出店はユーリの興味センサーに引っかかったようで、そそくさと店の方へ行ってしまった。
ローはそんなユーリを見て苦笑すると、彼女の後を追った。