第33章 A world beginning with you
「みんな、すっごい!」
私は、みんなの部屋を見て回った。
順番に、ゆっくり。
みんな、見ればすぐ誰の部屋か分かるもので、私は嬉しくなった。もっともっとみんなのことを知れた気になって。
「安藤!最後の部屋だよ!」
透ちゃんが私の手を引いて、扉の前に立つ。
「安藤の部屋!」
「わたしの……」
ガチャり
とゆっくり開けてみると、そこには全くなんにもなんにもなかった。
寒々とした部屋にぽつんと荷物が置いてあるだけ。
あ、これから私、部屋をつくらなきゃいけないんだ……。
絶望でがくんと膝から崩れ落ちてしまいそうになる。
この殺風景な部屋を何とかしないと、今夜眠れない…。
何時になっちゃうんだろう…。
「わたし、部屋つくらなきゃだった!ごっごめん…きょうは」
「安藤部屋手伝うよ!」
「えっ、えぇ」
「俺も!」
「っし、やるか!」
荷物に手をかけ、おやすみなさいを言おうとした時、みんなは集まって一緒にしゃがみこんできた。
「もうひとりでやろうとしなくていいんだよ!」
「で、でも」
「私たちに任せてよ!」
「力仕事は僕にも任せて!」
私は驚いて、
それで、
申し訳ない気持ちになって、
それから、
嬉しくなった。
「本当に…いいの?」
「もちろん!!」
「力になりたい!」
私の目は極限まで開いて、
今日一番の、ありがとうを言った。
「よっしじゃあやるぞ!」
「「「おー!!」」」
みんなの元気いっぱいの声がばっと響いた。