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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第28章 君に伝えたいこと


Side 死柄木弔


話を聞けば、彼らのことを否定できると思ったんだろう。

こいつらは完全に悪だって、言いきれると思ったんだろう。


バカだな安藤。

お前は否定なんて出来ないよ。


安藤を前に、マグネやトゥワイスらは自らの過去や自分の望みを語った。


『こうすれば、痛みは…少しは、癒せますか?』


はじめて出会った時ああ言った安藤だ。


安藤は優しいのだ。

それは長所であり、そして、最大の“短所”だ。


「そん、な……みなさん…そう、なんです……か…?」


安藤に背を向けたまま、くくくっと喉を鳴らす。


見なくても安藤がどんな顔をしているかわかる。


困惑だ。
眉を下げ、冷や汗をたらして真っ青になって。


安藤に顔を向け、答え合わせをする。


大正解。


「どうした?そんな顔して。」
「…いえ…なん、でも……。」


分かっているが、わざと分からないふりをしてやった。思わず笑みで歪みそうになる口を、慌てて片手で隠す。


「なぁ安藤、似てるんだよなぁ。俺らとお前。」
「っ……」


分からないふりをしたまま、言葉を続ける。
安藤は目を逸らして耳を塞いだ。その手を剥がし、言い聞かせる。


「この超人社会で居場所が無いのは、お前だけじゃない。俺らも無いんだよ。」

「でもっ!」

「居場所がない辛さを、お前もわかるだろ?」

「わかっ……」

「俺たちならお前の個性もちゃんと活用してやる。」

「あの個性はっ…!!」

「ほら、win-winじゃないか。」


安藤はぎゅっと目を瞑って、自らの手を握る。

それから目を開いてゆっくりと言葉を漏らす。


「みなさんの、居場所…作りたいって…思いました。無いなんて生きづらいに決まってます…。もしかしたら、敵になってしまってもおかしくないのかも知れません。」


ゆっくり、安藤は言葉を紡ぐ。


「でも、無関係な人を傷つけていいわけないんです!そんなことしたらみなさんももっと生きづらくなっちゃいます!!…お話なら聞きます。」


だから、だからと安藤は下を向いた。
祈るように手を握り、力を込めている。


「もう悪い人で居ないでください…」


その姿、その言葉に、俺はニヤリと口を歪める。


安藤、だからお前じゃなきゃダメなんだよ。そばにおきたいんだ。


お前、やさしいんだもんな。


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