【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第7章 Folie Douce
「貴様、俺だけでなく、千花まで愚弄するか」
低く、重たく、地を這うような声音に、本気の怒りを感じ、顔が上げられず情けなく床を見る。
痛みからか、はたまた別の感情からか、じわりと溢れた水で視界が揺らぐ。
「貴様が何を見、聞いたかは存ぜぬが…
それは彼奴の言葉や振舞いより信頼出来るものか?」
「そ、れは、」
「家康…昨晩の事なら、俺も一緒にいたぞ」
「…は?秀吉さん、も?」
「信長様と秀吉様、そして千花様。
三人で飲み明かしておられた、のですよね?」
「の、飲み明かし…」
「千花に、何かしら覚悟を問うたと聞いているが。
その様な高説を垂れた、貴様の覚悟とは?
さて、如何なるものであろうな」
信長様の言葉がぐさり、と刺さる。
俺の、覚悟──そして、今日一日の千花への行いを思い返し、その全てがぐるぐると回って、気持が悪い程。
「盛り上がっている所悪いが…お館様、ご報告が」
音も立てずに背後に立っていた光秀さんに、肩を叩かれびくり、と身体が跳ねる──どうやら、随分と動揺してしまっているらしい己に気付く。
「光秀か、良い。話せ」
「…千花の居所を、突き止めました」