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Diable Patron

第12章 上司と部下の張り合い


「お待たせしました。」




彼は私の乗っていた助手席の扉を開けていった。




雨が少し降るなか、彼は濡れながらも



「少し濡れますけど、靴脱いでもらっていいですか?」



と言って私に靴を脱ぐように促す。




私は頷き、靴を脱ぐと彼は手早く手当てを終わらせ、私の足をそっともとに戻して扉を閉めた。




なぜ、こんなに紳士な子が私を好いてくれるのか丸で意味がわからなかった。




この子にはもっとお似合いな子達がたくさんいるんじゃないかと。




けれどそれも彼の兄の性格上、わかるような気がした。




「足、それでも痛いようなら言ってくださいね。今日はデスクで大人しく仕事しててください。」



彼は運転席に座るとそう言って車を出した。




しばらく、沈黙の時間が進むもどうしてもこの空気に耐えられず、「新山くんって車の免許持ってたんだね?」と話しかけた。




「えぇ。子供の頃、車とかすごい好きで、大人になったら車の免許を取るって小さいときから決めてたんですよ。っと言っても、自家用車とかは僕の場合持ってないですけどね。」




そう少しだけ、恥ずかしそうに笑う。




「日向さんは小さいときからやりたかったこととかありました?」



そう話をふられ、「あー、昔はですけどお姫様とかになりたいなって思ってましたね…まあ実際そんな仕事とかないですし、早々に諦めましたが…」と少し恥ずかしいが話した。




「女の子なら誰でも憧れますよね。けど、日向さんのことが恋愛対象として好きな人なら誰でもお姫様だと思ってるんじゃないですか?」



そうさらに恥ずかしくなる返しをされ、私は少し顔を赤く染めた。
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