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ハリー・ポッターと純血の守護者

第32章 【お・ま・け】


「……なあ、本当に良いのか?」

 もうグリフィンドール生の皆が寝室に戻って数時間、ハリー、ロン、クリス以外は誰もいなくなった談話室で、躊躇いがちにクリスが2人に尋ねた。
 時刻は午前1時。本来ならもうとっくに寝ている時間なのだが、ハーマイオニーが襲われ、加えて自分が『継承者』だと思っているクリスは、とても悠々と寝ている事など出来ず、こうして起きていたわけだが――なんとハリーとロンの2人も一緒に談話室に残ってくれると言ったのだ。

「気にしないでよ、僕ら好きでやってるんだから」
「そうそう、気を遣うクリスなんてらしくないよ」
「……でも、もし本当に私が『継承者』だとしたら、2人が――」

 そこまで言いかけた時、ハリーがクリスの言葉を遮る様に唇に人差し指を当てた。

「言っただろう?君は絶対に『継承者』なんかじゃないって。だから僕らを信じて」
「君って変なところ気が弱いよね。普段は人になんて思われてようと堂々としているくせに」
「それは……今回は、特別だから……」

 クリスの脳内に、目を見開いたまま倒れているハーマイオニーの姿が蘇る。2人はクリスが『継承者』ではないと信じてくれているが、スリザリンの血を継ぎ、尚且つパーセルタングの人間なんてクリス以外にはいない。それに眠っている時なら、自分の意思に関係無く人を襲うことも出来る。眠りながら校内を徘徊できる人間なんてそうそう居ない。

「でも、だからって2人が付き合う必要はないんだ。私1人徹夜で起きていれば良いだけの話しだし」

 もし自分の所為で2人が被害に遭ったら、今度こそ壁に向かって拳をぶつけるどころでは済まない。そうなるくらいなら2人から離れた方がマシだ。しかし、2人の意見は違った。

「クリス、僕らは運命共同体だ。君が苦しんでいれば僕だって苦しいし、君が楽になるなら僕はどんな事だってする」
「そうだ!僕、寝室から毛布持ってくるよ。暖炉の前だって言っても流石に寒いだろうし」

 そう言って、ロンは楽しそうに寮への階段を上って行った。そして毛布と、何故か赤いリボンを持って談話室に戻ってきた。
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