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意のままに

第15章 思惑~3~




「良いか、ここにいる1人たりとも欠けることは許さん。皆、生きて再びこの安土の土を踏むのだ!!」

「「「「うぉおおおお!!」」」」

信長の言葉に、歓声が沸き、皆それぞれに表情が引き締まる。

「政宗、家康。」
「「はっ。」」
「よいか?出立は2刻ほどだ。夜が更けたころ合流できるようにな。」
小声で2人にのみ伝える。


「では、出陣だ!」
その一言で、織田軍が進軍を始めた。

「なつ大丈夫かな?」
「なつ様はお強い方ですから、きっと気丈に振る舞っておられますよ。」
蜜姫の言葉に、三成が笑顔で返す。
「そうだな。お館様にさえあの態度だ。更に図太いことやってるんじゃないか?」
呆れ気味に、秀吉が返す。

「そう言う、秀吉は心配で仕方ないと言ったふうだな。」
光秀がからかう様な視線を送れば、秀吉は簡単に誘いに乗る。
「当り前だろう!!あいつの口の利き方は下手すれば手打ちものだ!!」
「あー、それはそうかも。」
蜜姫も秀吉の言葉に心配そうな表情を浮かべる。

「お前たち、うるさいぞ。彼奴がそんなことで手打ちに合うはずもない。この俺を誘い出す道具なのだからな。」

「それは、それでどうなのかと思いますが。」

「それよりも、気を引き締めろ。この先の峠で、秀吉は別進路でまっすぐ上杉が拠点とする城を目指せ。そのおり、先日の先鋭部隊も一緒に連れていけ。」
「はっ。」
「お館様、我々はどうするのです?」
「別進路の先に久しく訪れていない領地があるだろう。」
「ああ、はい。--様の領地ですね。」
「そこで、1泊する。政宗たちにはそちらへ来るよう申し付けてある。」
「その、理由が知りたいですね。」
「顕如がからんでいる。お前たち、わかっていると思うが。」
「兵たちには、物を口にしないよう伝えて置きましょう。」
光秀が、察したように信長に馬を並べる。
「色々と裏で準備しているんですね。」
「ふん、お前には負ける。」


その後はのんびりと進軍していき、例の峠へさしかかった。

「それでは、お館様くれぐれもお気を付けください。」
「うむ。秀吉、なつは必ず連れ戻せ。そして勝ち残れ。」
「はっ。」
頭を下げると、秀吉は先鋭部隊と家臣たちを引き連れ、信長たちと別れた。







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