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【イケメン戦国】戦国舞花録

第22章 『衝動』





そうしてーーー

少し歩いては立ち止まって店の売り物を眺めたり、付近の地理などを説明する姉に長々と付き合い。
城下をひと通り見て回り………
そろそろひと休みしようか、と一軒の茶屋へ足を運んだ。


「あー……疲れた……」


長椅子へ乱暴に腰を下ろし、懐から出した煙草の先端に火を点ける。
苦手な人混みの中、終始目を光らせながら歩いていたせいかとてつもない疲労に襲われた私はぐったりと項垂れ煙を吐いた。

一方、横に座っている姉は風呂敷を広げ、先程買い上げた物を手に取って確認している。
透明な瓶ーーー中身は色とりどりの金平糖だ。

どうやら織田への土産らしく。
奴め、クールな顔してこんな可愛らしいものを好んで食べるんだ……と呆気にとられていた。

すると、姉は膝の上にそっと瓶を置き
静かに口を開く。


「あのね、朝餉のあと……信長様の元に報せが届いたみたいなの」

「報せ?」

「うん。桜子の行方について」


ーーーーーー!

心臓がドクンと打ち鳴り、緊張感が走る。
昨日から織田の指示で捜索中の筈。
何か進展でもあったのだろうか。


「発見には至ってないんだけど………気になる目撃情報があって。
珍しい着物を纏った男女が京の山林を駆けていく姿を見た地元の村人が居るらしいの」

「…………珍しい着物?」

「二人とも南蛮人のような装いだった、って。
男の方は眼鏡をかけていて、長い髪を垂らした女を背負ってた、って………」

「…………」

「これは私の都合の良い推測だけど………
もしかしたら佐助君と桜子なんじゃないか……って」


ーーー“佐助”
戦国時代で出会い、姉と親交を深め
ワームホールとかいう非現実的な現象により一緒に現代へ戻るも……
再びまたこの時代へ導いた張本人。

ここへタイムスリップする直前に見た、石碑の前で姉の隣に立っていたあいつだ。



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