第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
「難しく考えないで。つまり、教師は教職に専念するべきということだよ」
はっとしたような表情をして、少し慌てた様子でそう言い、柔らかく笑った。
………いつもの笑顔に戻った。
なぜだかドキマギしてしまって、紅茶をゴクンと喉に流し込む。
ほのかな香りと甘さに、ほっとする。
「ところで、俺に何か用だったかい?」
「あ、そうでした!来週から世界史を受け持つことになったんですが、私が学んだ世界史とは視点が違うんで、どう教えたらいいものかと思って」
「マイン先生は、本当に勉強熱心だね」
「関わりのある国が日本と違うので、意外と知らない国がたくさんあるんだなって驚きました。けど、まずはリアリン市国の歴史を勉強した方がいいですよね」
「わからない事があったら何でも聞いて。俺はいつでもこの美術室にいるから。明日は午前中に絵の搬入があるけど、午後ならここにいるよ」
「ありがとうございます」
その後、少しだけ、他愛のないおしゃべりをし、紅茶を飲み干して美術室を後にした。
ここへ来てからというもの、毎日が慌ただしく、目の前のやるべきことを消化しようと、ただ、がむしゃらに進んできたように思う。
今では大抵のことはできるようになり、落ち着いて毎日を過ごしている。視野を広げ、周りを見る、いい機会だ。
与えられた事は、できる限り頑張ろう。