Lucky Sound ...and Light?
第1章 1
「ちょっ・・・何やねん!!」
突然消えた照明。
さすがに俺も意味が分からなくて、周りを見回した。
スタジオ内は少しの明かりもなく、闇に包まれている。
闇の中からガツン、痛てっ、ガシャッ、とスタッフが動く音と声だけが聞こえる。
すると、唯一スタジオ内にあった窓がピカッと光った。
「ひゃっ・・・!!」
詩織が震えながら両腕で俺の左腕にしがみついている。
そして光のすぐ後に、爆音のようなガラガラという音がした。
────やっと分かった。
(・・・雷や)
さっきの『ドラム缶を転がすような、腹に響く音』っちゅうのは、ドラムでもベースでもなく、雷の音やったんやな。
で、詩織が見ていたのはカーテンが閉められた窓やった。
カーテンが閉められとるとはいえ、カーテンの下からでも光は見えるしな。
きっと詩織はカーテンの下から漏れた光を見たんやろ。
(しかし、このスタジオ内でよく雷の音が聞こえたもんやな。耳がえぇんやな、詩織は・・・)
─────と、ここまで考えて俺は左腕に意識を集中させた。
さっきから、二の腕辺りにやけに柔らかい感触が。
(─────まさか)