第2章 19年後 ロンの失敗
今後こそ両親の家からローズとヒューゴを引き取ると、ハーマイオニーは2人の手をしっかり握って、付き添い姿くらましをした。
やっとの事で家に帰っても、まだロンはいなかった。
ローズが明日、ホグワーツに行ってしまうというのに!
イライラしながら、でもそれを子供に見せないように、ハーマイオニーはヒューゴを寝かしつけ、ローズの荷造りを手伝った。
「ママ、羽根ペンがないわ」
ハーマイオニーは聞こえないようにため息をついた。
ローズのために羽根ペンを探している時、玄関が開く音がした。
全身びしょ濡れのロンが戸口に立っていた。
「ハーマイオニー、ごめんよ遅くなって。なんでかびしょ濡れかっていうと…」
「あら、理由なんて別に聞きたくないわ」
ハーマイオニーはつんとして言った。
引き出しをいくつも開けて羽根ペンを探す。
ロンがおずおずと聞く。
「何を探してるんだい?」
「羽根ペンよ」
「ああ、羽根ペンなら僕新しいの持ってるよ」
ロンがローブの中をゴソゴソして、新品の羽根ペンを取り出して、ハーマイオニーに差し出した。
「どうも」
ハーマイオニーは冷たく言って、ローズに渡すために2階に上がっていった。
次の日の朝も、ハーマイオニーはイライラしたままだった。
ロンのことの他に、魔法法執行部の仕事が突然入り、ローズの見送りに行けないことになり、それに今日の夜はテディ・ルーピンが婚約中のビクトワールと、リリーやヒューゴやロクサーヌをキャンプに連れていってくれるので、その準備もしなくてはならなかった。
家を出る時、ハーマイオニーは子供達を交互に抱きしめて言った。
「ローズ、お行儀よくするのよ。学期末テストはベストを尽くすこと。夜中にうろうろしないこと。あぶないことをしないこと。わかったわね?」
ハリーポッターと一緒に冒険に出かけた母親に言われたくないとばかりにローズはやれやれと首を振って返事をした。
「わかったわ、ママ」
「ヒューゴ、テディやビクトワールの言うこと聞くのよ」
「わかったよ、ママ」
ヒューゴも姉の真似をして首をやれやれと振った。
「それじゃあね」
2人の頰にキスをしてハーマイオニーは家を出た。
出て行くときに振り返るとローズの顔が少し寂しそうなのに気づいて、胸が申し訳なさにきりりと痛んだ。