第3章 ホグワーツの戦い
しかし、フレッド、リーマス、トンクスを失った悲しみはまだ癒えることはなかった。
特にフレッドの死はウィーズリー家の人に、とくにジョージに大きな打撃を与えた。
ジョージは泣いていないし、そのかわり笑いもしなかった。
ジョージは部屋から出てこなかった。
ウィーズリーおばさんは食卓のフレッドがいつも座っていた場所にも毎日オートミールのお皿を置いた。ジニーがそこに座った時、ウィーズリーおばさんは静かにジニーを叱った。
その他のウィーズリー家の人たちはみんな明るく振る舞った。しかし、みんなが悲しんでいた。ハリーも悲しかったし、寂しかった。
そして、ハリーは自分を責めた。フレッドが死んだのは僕のせいだ。他のみんなが死んだのも、本当は僕のせいだ。本当は隠れ穴に戻るつもりはなく、グリモールドプレイスで暮らすことを考えていた。ウィーズリー家の人たちにあまりに申し訳ないと思ったからだ。
しかし、不思議なことにハリーの他には誰もハリーを責めてはいないようだった。
戦いの後、ウィーズリーおばさんは泣きながらハリーを抱きしめてハリーが無事でよかったと言ったし、ウィーズリーおじさんも、よくやったと言ってくれた。ジョージもハリーの肩を叩いた。
誰もハリーを責めなかった。
ウィーズリー家の人たち以外の遺族も、ハリーを責めなかった。
みんながハリーの手を握って、感謝の言葉を言った。(「あの子の死が無駄ではなかったと思えるだけでどんなに救われるか…」)
しかし自分を責める気持ちはなくならなかった。
自分さえ先に死んでいれば、とハリーは何度も思った。ニワトコの杖がハリーを殺すことはなくても、もっと先に我が身を差し出していれば……。
こんな思いを抱いていることをウィーズリー家の人にはとても言えない。
怖かったし、悲しかったし、何より悲しませるのが怖かった。