第42章 戦国源氏のくりすます　―安土城戦国源氏―

「しかし、よく、こんなくじ、考えたよなぁ」

政宗が感心して言うと、家康はますます不愛想になって答えた。

「さんたの衣装の巻き物の中に、このくじの事が書いてあったんですよ。ただ渡すだけじゃつまらないから、くじも作っておいたんです」

「家康様が私のお渡しした巻き物の中から、贈り物で遊べるものを使ってくださった」

三成が嬉しそうに言ったから、家康はますます苦々しく不機嫌そうに言った。

「何、おまえが喜ぶ必要あるんだよ。関係ないだろ」

「まぁまぁ、家康、落ち着け。家臣が喜んでるから良かったじゃないか」

政宗がどうどうと不機嫌な家康を押さえる。

「そりゃそうですけれど」

「秀吉、くりすます、成功おめでとう」

政宗が秀吉に唐突に言い、秀吉はその言葉に目をしばたたかせる。

「ははっ、俺達も手伝ったと言っても、帝から言われたのは秀吉だからな。全く知らない事なのに、よく準備してこうして俺達を楽しませてくれた。それについて、俺はおまえをねぎらったつもりなんだがな」

「政宗…」

秀吉の前に政宗の他、三成、家康、光秀も来て、秀吉をねぎらった。

「秀吉、さ、くりすますを締めよう」

「そうだな。じゃあみんな、こういって締めるぞ」

秀吉は全員に声を掛け、伸びやかなその声で言い、全員でその言葉を唱えた。
「めりーくりすます！！」

皆で手を叩いて、宴をにぎやかに締めた。


＜終＞