第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
マッキーが私の自主練の
手を止めて
ポケットからチケットを取り出す
『…止めとくよ
夜遊びに得はないって
嫌って言うほど
学んだから』
「根を詰めすぎても
得はねぇって!
ライブが嫌なら
飯行こう!
うまいラーメン屋があるんだ!
チャント飯食ったの見届けたら
引っ張らず帰るから、な!」
『いや…この時間のラーメンとか
ダイエットの大敵…』
「てーんちょー!
一緒にラーメンどうスか!?
コンテストの秘訣とかも
聞けたら嬉しいんスけどー!」
『こら、マッキ…』
さくっと断るつもりが
まさかの店長召喚とか
「姫凪ちゃん、店長良いって!
しかもラーメンは重いから
お洒落な小料理屋で
飯食わせてくれるってさー
(諦めてチャント食いなさい)」
ズルいよマッキー!
断れなくなったじゃないの!
仕方なく道具を片付けて
三人で歩く夜道
通り過ぎる人波の中に
京治と似た匂いがする度に
振り返っては
胸がキリキリ痛む