第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
追いかけようと立ち上がった足は
シッカリ立たない腰を
支え切れず床にへばり付く
せめて声を届けたいのに
電話は繋がらない
『ホントに終わる…の?』
ポタポタ床を濡らす涙
ただただ暗く沈む気持ちを
引き上げたのは
「姫凪!!」
『光太郎…何しに来たの?』
太陽みたいな光太郎
「さっきお前の店の
アイツ…マキマキ?に会ってさ
お前の忘れ物を届けに行く所だって
言うから奪って俺が
届けに来た…んだけど…」
光太郎の手の中
私の自主練道具が揺れ
声は勢いを失くす
そう言えば
普通とは言い難い身なりに
泣いた顔に
立たない腰
光太郎が止まるのも無理ないよね
でも、昨日の事もあるし
無理矢理にでも
普通にしないと…
何もなかったって笑わないと…
『あ…ごめん。
こんな格好で…
チョット出て?
すぐ服着るから…』
「え?嫌デス。
そんなオイシイ俺得を見す見す…」
『正直過ぎる!
ダメ!色々見えちゃうから
チャント服着るまで
出て行きなさい!!』