第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
徹夜明けで
かなりダルい身体で
講義を受け
大学のバレーチームの
練習をやっとの思いでこなした俺は
「…死ぬかもしれない」
髪の毛の乱れを治す気力もないくらい
疲労困憊していた
「エグい顔しとるで?
送って行ったろか?
ちょっと待っててくれたら
家に車取りに帰るで?」
着替えを終えた宮侑が
少し引いた顔して
掛けて来た声を
「いや、良い。
なるべく早く帰りたいから
一人で帰る」
やんわり断る
ありがたいけど
今日は姫凪さんも
早く帰って来るだろうし…
「…あ!もしかして
俺が居座って
姫凪ちゃんとの時間
邪魔すると思ってんねやろ!」
俺の頭の中を見抜いた様に
ニヤニヤ笑う宮侑
図星をはぐらかすのも面倒で
「…まぁ、そんな所。
今日は姫凪さんも
疲れきって帰って来るはずなので」
素直に頷き
重い荷物に手を掛ける
「こらこら!
ちょお待ちて!
治やないねんから
そんなんせーへんで?
今日はこの後、木兎くん所のチームの
練習に混ぜて貰う約束しとるから
そのついでに送るって言うとるだけやし」