第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
ガタンッと立ち上がる音がして
サクラの声が
聞こえなくなる
ここに立ってりゃ
さっき治が言ったみたいに
まんまとオカズゲットだけど…
「静かにってどこが?
声だだ漏れ
学校でくらい大人しくしろよ」
何踏み込んでンだって…。
ドアを開けて
携帯カメラでパシャリと
二人の時間を切り取る
画面には涙目で
治に抱き寄せられたサクラと
「はぁ?なんなん?
邪魔すんなや
暇やったら侑の所行けや
あっちのが踏み込みがいあるで
もっとオモロイもん」
不機嫌過ぎる治
「侑にも侑の女にも興味ない
てゆっか、その言い方
二人を邪魔してくれ、に聞こえる」
「その言い方…サクラに
興味あるに聞こえるんは
気のせいか?」