第67章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋③(宮侑、宮治)
「こら、お前が寝るんかい」
腕の中で寝息を立てる姫凪の頭を
軽く撫でると
頬にうっすら残る涙跡がカーテンから射し込む
光に浮かんで見えた
「痛かったんか?跡残るほど泣いて…
ハジメテやのに無茶させたもんな…スマンな?」
指で頬の跡を拭い
小さな頭を抱き締めてると
静かな部屋に響く黒電話の着信音
「ん?姫凪…のやないよな?
この音…姫凪変えたんか?」
制服のスカートの中で鳴ってるソレを
出そうとした所で
着信音が止まり
LINEの通知音が何度も鳴る