第66章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋②(宮侑、宮治)
力なく笑う治くん
”こんなんお揃いにしてもなぁ?”って
吐く溜息が
なんとなく熱く感じる
「治くん?」
「ホンマ、なんもあらへんから
もし風邪やったら大変やさかい
離れとき」
見上げる私を少し困った顔で
押し退けて
もう見えへん背中を探す様に
視線を動かす
姫凪と治くんが
気不味いのは分かる
姫凪が治くんを
避けてしまう理由は分からへんけど
侑くんが連れ去るって事は
姫凪が治くんと居るのが
辛そうなんに気付いたからやと思う
どの角度から見ても
”何もなかった”わけない。