第26章 本屋 (逆ハー)
まあ、予想はしていたけれど。
いつも雑誌の写真しか見ない自分が二人についていけるとは思ってないけれど。
本屋についた二人はそれぞれ探すものがあるようで、バラバラに動く。
ダンテはもちろんについて行ったのだが。
ぺらぺらとページをめくるに声をかけても生返事が帰ってくるだけ。
こういう時は少し寂しくなる。無言の境界線が引かれたように踏み出せなくなる。
文字ばかりの紙なんかどこが楽しいんだか、と八つ当たり気味に思った。
そして、ずっと本を見ていたはふと顔をあげ。
探して近づいていく相手はバージルで。
ダンテは苦い思いでその背中を見つめた。
はバージルの服の裾をちょんと引っ張り声をかける。
「ねえねえこの本さ…」
「その作者はやめた方がいい。嘘が多いと評判だ」
「え、そなの? でも見てこの写真」
バージルは少し頭をかがめて横から本を覗き込む。
近づく肌にこの俺が緊張しているなど、は少しも思っていないのだろうな。
わずかに香るやわらかな香りはシャンプーか。が風呂に入っている時、いつもこの香りがする。
きっとダンテは遠くから睨みつけているのだろう。
それを確信し、わざとバージルはぴったりとくっつく。
案の定ダンテはじっと二人を見ていた。
くっつきすぎだくっつきすぎ! マジでいっぺん殴りてえあいつ。
握りしめた雑誌はきしんで破かれる寸前。
それをぽいっと放ると、ダンテは我慢ならずずかずかと二人に近づいた。
「はいちょっとすいませんよ!」
無理矢理二人をべりっと引き剥がして、二人の前にある適当な本を取りめくる。