第8章 髪切り
何かを壊したいような衝動。
こんな事は初めてだ。居心地が悪い。
誰かこの自己嫌悪を除いてくれ。
の顔が頭から離れない。
ヒュウイに向けられた笑顔。
なぜ俺に向けてくれない。
自嘲する。
自業自得だろう。
部屋のドアをバタンと閉め、机に歩み寄った。
心は荒んでいるのに、仕草にはそれが出ず落ち着いているのが救いだった。
こんな気持ちは、誰にも知られたくない。
俺はどうすればいい。
机に座り、額に手をやる。
中途半端な気持ちは嫌いだ。
どちらかに綺麗に収まって欲しい。
気持ちが落ち着かない。
―――決めるべきなのか…
どちらにするか。
今、決めるべきだろうか。
早い方がいいだろう。
あまり後にやって後ろ髪を引かれるような事があってはたまらない。
やるなら早めに、きっぱりと。
バージルは目を閉じた。