• テキストサイズ

【DMC】BLUE

第1章 絶体絶命


突然起き上がったに男は別段驚いた風でもなく落ち着いていて。
本を読んでいた顔を上げようともせずに言った。

「大人しくしろ。本当に死にたいのか」

その物言いにはむっとしたが、それよりも頭を占めるもの。
見捨てられたとばかり思っていた男がここにいる。
という事は。

「……もしかして…助けてくれた…?」

人に無関心な目。
助けて欲しいと言っておいて勝手な考えだが、絶対助けてくれないと思っていたのに。

「……………」

男はそれには答えず、本のページを一枚めくった。


───そんなに悪い人じゃないの…かな

じっと座る男の横を見ると、食べ終わった食事の食器と水の入った桶。

あるって事は、そういう事だよね?
ずっと看病してくれて……。


嬉しくなった瞬間、くぅ…とお腹が鳴る。
は慌ててお腹を押さえた。

───は、はずかし!

男はちらりとこちらを見て息をつくと、ぱたんと本を閉じる。

「食欲があるなら、大丈夫なんだろうな」

立ち上がり、部屋のドアに向かった。

「──あ あのっ」

「…何だ」

「助けてくれてありがとう。私は。あなたは?」

「…………」


男はじっとを見つめた後、ふいっと顔を背け。

「………バージル」

言い残して、部屋を出てしまった。


/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp