第19章 ~淡き恋心とFaint memory~【徳川家康生誕祭】
ねぇ、家康?―
何?
私達子どもの時にことば交わしてた事あったんだよね。
そうみたいだね。
あの時の事全然覚えてないのにね…
うん……
あの時なんて話してたんだろう……
さぁね。
家康とこうなるんだったら覚えていたかったなぁ……
仕方ないよ。俺もあの時は信長様の鍛錬の事しか覚えてないし。
そっか……
歌恋も幼かったし。
だけど、きっと家康と私がこうなるのって『運命』だったんだよね。
そうだね、でも……
運命の出会いじゃなくて、『必然』だったのかも。
(子ども乍に、あの時の記憶はぼんやり覚えてる。言葉は覚えてないけど、小さな女の子の優しさはね。)
そっか……その方がいいね!
そう言って隣で優しく微笑むアンタの顔、あの時から変わってないよ。
その優しくて太陽みたいな俺の大好きな顔、絶対に守って見せる。
戦の無い平和な世を作る。
俺みたいな子どもが人質なんてなるような時代じゃなくて、人々が輝いて居られるようなそんな世を。
だからもう少ししたら約束させて。
運命じゃなくて、必然の出会いで会ったアンタの事をちゃんと迎えるから。
幼かった頃に出会って、言葉を交わした位の二人。
そんな二人が大人になってまた出会って、こうして隣にいる事の幸せ。
子どもが産まれたら自慢するから。
二人は運命じゃなくて必然の出会いだったと。
そう遠くはない未来だと予感してる。