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令嬢は必死なんです!!

第4章 お兄様の秘め事


 【ミア視点】


うららかな、昼下がり、家庭教師からの指導も終わって、私はいつものように、中庭に遊びに来ていた


隣にはミシェとメイフィスがついている。

ミシェがハーブティーとクッキーを用意してくれ、少し、ビクビクしたように、失礼しますと頭を何回も下げて、ネズミが逃げ回るみたいに、走り去っていく


いつものことながら、ショックだ


 「ミアお嬢様、お召し上がりにならないのですか」


この家の両親、メイドのメアリーに気に入られたアイドル、看板娘、ならぬ看板息子へと昇進した、メイフィスが、その儚げな美しい顔を少し微笑えませながら言った。


 「あ、ああ、いただくわ」

私ったら、出されたものを食べないなんて、失礼よね。私はクッキーを口にいれた。甘くて、サクサクした、素朴な味が口のなかに広がる。



グリフィスト様の無口を越えて、無口な、顔恐い、性格、男前な料理長に頼み込んで、下町の素材から作らせたクッキー。

かなり、美味しかった


ふいに、あの、サーカスでみせたローレンお兄様の笑顔を思い出した、なんにもない、空っぽで色のない笑顔だった


金髪でエメラルドグリーンの瞳、ワンコ系男子のように丸いくりくりの瞳は愛らしく


いつも、話上手で聞き上手で、魔法も素晴らしく、剣術はグリフィスト様に続く腕前で、


乙女ゲームでも攻略対象の中で一番完璧人間とされるローレンお兄様は5年前でも、もうすでに完成していた



そんな、かっこいいお兄様にいったい何があったのか。


乙女ゲームでは闇の深い、私の専属執事になるはずのルイスとは真逆で、
ローレンお兄様は闇なんて作らないぜ!くらいの人なのに


 「悩むお顔もお美しいですが、ミア様には笑顔が一番お似合いです」


ふさ……
私の頭に…

メイフィスをみると、リナリアという花を片手に持ち、ニコッと微笑んでいた

可愛らしい白い花でつくられた冠だ


 「僕のお姫様、どうか、笑っていてください」


微笑みながら、頬をほんのり赤らめるメイフィスに私は胸がキュッと締め付けられた。


う…うわー……かわいい



メイフィス…この花の花言葉『この恋に気づいて』なのよ、メイフィス。なんでよりによってこの花選んだ、天然なの、貴方

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