第49章 好きだよ
「……名を告げることで誰かに神隠しされる可能性は私にもありそうですが、神隠しって要は自分の宝物を誰かに取られないように見られないようにって特別な場所に隠す行為ですよね。私は一個人の物でもなければ神隠しされるほど好かれているとは思ってませんから多分大丈夫です」
燭台切「それはどうかな?加州くんは?石切丸さんは?君は自分が思っているよりも好かれていることを自覚するべきだよ」
「それは……」
ふとしたときに見せる清光の寂しげな顔を思い出しては何も言えなくなる。
あんなにも優しくていい子が私を隠すわけがない、と言いたいがいろんな刀剣男士に構うあまり清光に寂しい思いをさせていることを考えたら隠されないなんて言えない。
心身共にぼろぼろだった清光に手を差し伸べたのは私なのだ。 本来なら寂しい思いをさせてはいけないのに清光はなにも言わず一人で苦しんでいる。
これでは嫌われたって仕方がないな。
そして石切丸さんも同じだ。
あの人から向けられる愛は普通ではない。好かれているというのはなんとなくわかるがあれを愛というにはあまりにも……。
「神に気に入られるって、人間の身では恐れ多い。私はそう思ってますが同時に怖いとも思います。神様に好かれるのはなんかこう……不思議な感じがして怖いです」
その恐怖心をどう言い表せばいいのかわからないが、神に愛されるという恐怖。
彼らを見る目が変わるわけでもなければ怖いからといって距離を置くわけでもない。
それでも私は彼らに好かれて嬉しいと思う反面、怖いとさえ思ってしまうのだ。
愛という目には見えないものを怖がるなんてどうかしてるが、目に見えないから…何があるかわからないからこそ感じてしまう恐怖。愛が必ずしも幸せだとは限らない。
だから私は…愛されることがとても恐ろしいものだと感じてしまうのだ。