第43章 店主
「いつもご苦労様です」
燭台切「えっ……急にどうしたの?」
「主は私なのに要領が悪いから何も出来てないのに燭台切さんは食事とか掃除とか……もう、私以上に働いてくれているな、と」
燭台切さんの隣を歩きながら自分の情けなさを感じつつ日頃から頑張ってくれている燭台切さんにお礼くらいはいうべきだろうと、一度頭を下げてお礼を言う。
本気で感謝はしているのだ。
斬られたっておかしくないのに燭台切さんはいつだって優しそうな眼差しで私をみてくれている。
それが有り難くて仕方ないのに私ができてないことを何も言わずともしてくれるのには感謝してもしきれないほどなのだ。
燭台切「そんなことはないよ。主だって夜遅くまで何かしているのは知っているし、僕だけじゃなく長谷部くんや鶴さん……歌仙くんだっていろいろしてくれているからね」
鶴さんってところで目をそらしたのは気のせいだと思うことにしよう。
燭台切さんの言う通り歌仙さんや長谷部が私の見てないところでいろんなことをしてくれているのは気づいている。
いや、他にも短刀達なんて笑顔で遊んでくれているだけでもいいのにみんなで仲良く掃除をしている姿を見たのは記憶に新しい。
「……私は審神者業ばかりに集中してしまってあなた方の心のケアなど全然できていませんね……我ながら情けない」
燭台切「……そうだね。主が言ってくれた僕たちを幸せにしたいって思いが本物だとはわかってはいるけど……傷ついた子達の心の傷が癒えているとは思ってない」
「……ごめんなさい」
心を癒せるだけの何かを私はしていない。
だから私に普通に接してくれる子がいても、いつだって心は傷ついたまま……審神者を信じられないままでいるんだ。