第41章 嫉妬心
「……ありがとう。私のことを想ってくれて……でもね清光。その気持ちはきっと勘違いだよ」
加州「勘違い……?」
「そう……ずっと不思議だった。私のこと綺麗って可愛いっていって慕ってくれる彼らのことが……私は好かれるタイプの人間ではないもの。だからきっと私の……誰でも魅了してしまうこの体質に惑わされてるだけだよ」
おかしなことは言っていない。
私の目を見ておかしくなったり匂いでおかしくなったり……きっとそういうことなのだ。
現世ではあんなに嫌われていたのに美しい彼らに好かれることが不思議だった。
一部の刀剣男士は本来審神者である私が憎くて堪らないはずなのにそこにばかり違和感を感じていたが、それが私の体質のせいなら納得ができる。
私は……好かれてなんていない。
「だから清光のそれは……」
加州「それ本気で言ってるの?」
「……本気、だよ」
親からも愛されなかった私が会って数日の彼らに好かれるわけがないんだ。
あり得ない。
加州「……主は何もわかってない。主のいうその体質っていうのはよくわからないけどさ……そんなものに惑わされてるなんて思ってるわけ?」
「思って……るかも」
実際、私の体質が原因で被害にあった人は数人いるし……。
好きでもなかった人を強制的に好きにさせる。
まるで惚れ薬のようだ。
清光は大きなため息を吐いたかと思うとむにっと私の両頬をつまんで左右に伸ばしてきた。
そんなに伸びる方でもなかったために結構痛かったりする。
「ひ、ひよみふ……?」
加州「刀剣男士、舐めないでよ。俺たちは心に従って主を好きだって言ってんの!じゃなきゃ石切丸さんみたいな人が主に惑わされるわけないでしょ」
「へ……」
石切丸さんの名が出てきて、顔が熱くなる。
どうしよう。
清光の前で発作が出たら……
私は清光の手を払ってなるべく目を合わせないようにした。
加州「……主は石切丸さんが好きだから他の刀剣男士を避けてるの?」
「え……ち、違う!避けては……いるときもあるけどそんな理由じゃっ」
加州「じゃあ……勘違いなんて、言わないでよ……」
悲しそうに言う清光に私は何も言えなくなる。
悲しませたいわけじゃないのにな……