第36章 距離感
堀川「……主さんって……本当、黙ってれば綺麗ですのに残念ですよね」
「みんなして同じこと言わないでいただきたい。さすがに傷つく」
黙っていれば綺麗ということは、口を開けば最悪と言われているようなものだ。
そう言ってるんだろうけど……。
私は私らしくいるつもりなんだけどあまりいい印象は与えられてないということだ。
ちらっと石切丸さんの方を見ると、彼は私のことをどう思っているのか気になった。
ああいうことをしたくらいなのだから少しくらいはいいなって思ってくれていたわけなので……でも、なにも思っていなかったら……
「……聞かない方がいっか」
平和が一番。
堀川「石切丸さんって主さんのことどう思ってるんですか」
「っ!ほ、堀川くっ!」
聞かないでおこうと決めた矢先に、堀川くんの口から聞かれてしまうと、さすがの私も驚かずにはいられない。
考えていたことを読んだ……いや、それは……堀川くんならあり得そうな話だから怖い。
というより、なぜ聞いた。
石切丸「……好きだよ」
「え!?」
石切丸「私は主を愛しいと思っているよ」
「っ!?」
堀川「主さん……顔真っ赤ですよ」
「あ、暑いだけだから!堀川くんのくれたお茶のせいで暑いだけだから!」
笑顔でさらっと言ってくる石切丸さんは本当に苦手だ。
こういう話題自体、私には縁遠きものと思っていたので耐性がなくて本当に困る。
熱い、くらくらする……心臓もばくばくして苦しいし……これ落ち着かないとヤバイやつ。
朝とか昼は節約のために飴を舐めてないから本気でヤバイやつ。
被害を出さないためにも、部屋に戻ろうと立ち上がろうとした瞬間……