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あの子はいとこ【R18】

第1章 帰って来た従兄弟


向かったのは駅前


随分と開発が進み、多くのビルが建ち並ぶ


そのため十年前より人や車の通りが激しくなっていた



「なんだか全然知らない場所になっちゃったな」



ぽつりと大和が呟く


離れてる間に色々変わってしまい、思うところがあるのだろう


なんて声をかけていいかわからず宇菜は大和を見上げると、不意に視線がぶつかる



「でも宇菜ちゃんが前より可愛くなったのは嬉しい変化かな」


「え、えぇ!?」


「やだな、驚かないでよ。さっきも言ったでしょ。宇菜ちゃん、凄く可愛い」



落ち着いた筈の心臓が再び悲鳴をあげる


恥ずかしくて死にそうだ



「や、大和くん…。そういうお世辞が言えるようになったんだね」


「違うよ」


「で、でもね!私には昔と同じでいいから!その…私は可愛いとか言われるのが慣れてなくて。いちいちドキドキしちゃうから」


「……むぅ。お世辞じゃないのに」



大和は不満そうに口を結ぶと宇菜の手を取る


やはり指を絡ませた恋人繋ぎだ



「や、大和くん?」


「デートの時間無くなっちゃう。僕は色々見て回りたいんだから」


「う、うん」



手を引かれ、歩き出した大和の横に並ぶ


なんで手を繋ぐのかは聞けなくなってしまった


季節はまだ春


風は少し冷たい


それなのに宇菜にとってはその冷たさが心地よかった


繋いだ手から帯びる熱にはまだまだ慣れそうにない



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