第1章 rain of caress
「や、・・ぁ・・っむ・・・んん!」
そうやって名無しが自惚れを抱いていると、ナッシュはその緑緑とした目を動かし、物思うように曇りがかった目配せを作った。
通話相手と器用に会話しながら数秒、自分の話が終わり、聞き入るターンになって数回目のことだ。
ナッシュは膝に置いていた手を動かすと、黙ってその手を名無しに向け、大きな手中は彼女の肩を抱き捕らえた。
たとえ片手であろうと、ナッシュにとって名無しの上半身を起こすことなど容易なもの・・・ベッドから背を離させ、自分と同じようにまずはぺたんと座らせる。
反動でスカートが捲れ白い腿が露わになっても、名無しにはそれを直す時間などあるわけもない。
驚愕に目を見開いていると、いきなり後頭部を掴まれて、再び頭はベッドに近付けさせられた。
ただしそこは枕元ではなく、ナッシュの下半身めがけてだった――。