第5章 明暗界線
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移動した部屋には、デカいベッドが置かれてるだけ
ガラス張りの向こう側では、
ソファーに座ったユウさんが、煙草を吸いながらこっちを見てる
そのガラスだって、
スイッチ1つでマジックミラーみたいにもなる
(こっちからは見えないけど、あっちからは見える、みたいなね)
シャツのボタンを、ひとつずつ弾いてるガキの姿が目に入ったから
徐に近付き、勢いよくベッドに突き飛ばした
小さく呻いたものの、黙って俺を見上げてる
俺はネクタイを緩め、ヤツの身体に跨がった
さっきと同じように唇を重ね、舌を捻込む
抵抗もなく受け入れ、応えようと必死に絡ませてくる
うーん。どうしよっか
ヤるだけなんてヌルいよな
現実はこんなんじゃねんだから
唇を離すと、名残惜しそうに糸が引き‥‥
荒くなった呼吸と
紅潮した頬が、俺をだんだんその気にさせた
アレ、案外楽しいかも
最初は、面倒くせぇなと思ったけど
上半身起こした俺は、中途半端に開いたシャツを両手で掴むと
力任せに引き破った
勢い良く弾けたボタン
ヤツの薄い胸板と白い肌が露わになる
痣ひとつない身体は、……連想させた
まっさらな雪が積もってるとさ
足跡付けたくなるよね
思いっきり踏みつけたくなる
迷いなく舌を這わせながら、噛みつくように行為の痕を付けた
ビクッと反応した身体が、弓形になる
「名前は?」
「‥‥カズナリ」
「カズ、ね」
「なんで?聞くんだよ」
「うんにゃ。気持ち入りやすいかなってね」
「ふぅん‥‥アンタは?」
ホント生意気だな‥‥まぁいいけど
「サトシ」
「サトシか‥‥手加減すんなよ?」
このガキ、なんの自信だよ
「する気なんてねぇけど?」
ニヤリと笑って、カズの身体に顔を埋めた
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