第14章 陽のあたる場所
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引っ越しする、とニノに報告された時、素直に嬉しかった。
だけど、
俺らみたいなガキが、ひとりで生活してくのは、
簡単じゃないってわかってたから心配だったのも本音。
引っ越しもひとりでやるって言うニノを押し切って
バイトも休みを貰うと、朝からマンションに向かった。
「え?こんだけ、なの?」
新居に持っていく荷物の少なさに驚いてると
“だからひとりで大丈夫って言ったでしょ”とニノは笑う。
いくつかのダンボールに詰められた必要な物は
ホント僅かで。
この部屋で使っていた全ての家具は
もう必要ないと......業者さんに引き取って貰った後だった。
ニノの新居は築30年のぼろっちいアパート。
風呂ナシ。
壁も薄いし、隙間風も半端ない。
それでも、
ニノが笑ってるから
やっぱり良かったと思う。
「あー!お腹いっぱい!
ごちそうさまー!!」
「お前、まだ片付け残ってんだからなー
寝るなよなー」
大の字になった俺の腹を、ニノが足で突っついてくる。
「やめてって(笑)
ちょっと休憩するだけだって!
ちゃんと働くからぁ」
「当たり前だ。スペシャル唐揚げ弁当奢ってやってんだからな」
空の折詰を袋に入れながら、先に立ち上がったニノを目で追う。
華奢でちっちゃくて
白い肌
後ろ姿なんか女の子みたいじゃん
......なんて言ったらぶっ飛ばされるかなぁ。
「アレ、っかしいなー」
シンクのとこでニノがブツブツ言ってるから
ヨイショと俺も立ち上がった。
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