第6章 番外編
「主上の伝達役がこんな所で何をしている」
「⋯⋯りりり陵王様が!」
「俺!?」
「お前か!また下らんこと言っていたんだろう」
「ああああ、おおお、旺季様、これ、主上が、旺季様の机に忍ばせてこいって言われまして!」
陵王は動揺した千代が、忍ばせろと言われてた資料を旺季に突き出す姿に吹き出し笑い転げていた。
旺季は眉間を寄せて書類を受け取ると、ビギっと蟀谷に何かが浮き出ていてしどろもどろになってしまう。
「いや、あの、フォローする訳では無いんですが⋯旺季様と、あの、口論になって話が平行線になってる自覚はあるらしくですね」
「千代、お前はこの書類が何か確認したか?」
「い、いえ」
「この書類はな、提出期限が明日までだ」
「へ!?」
「つまり」
「ハメられたああああああああああ」
項垂れる千代を見て陵王は大笑いし、旺季は頭を抱えた。
肩を叩き慰める陵王、千代は主上の「俺は旺季に渡してこいと言った」と言うのを浮かべて涙を拭う。ああ、危うく嵌めれ二重に怒られるところだった。
「はぁ、千代他にはなにかあったか?」
「い、いえ!この後は少し外回りに行こうかと思ってたぐらいです」
「⋯なら、頼みがある」
千代は目を丸くしたが、嬉しそうに微笑む。大きく頷き旺季の後ろをついて歩く。
それを見ていた陵王は目を閉じた。
小娘が剣を弓を槍を振り回す。
あんな、小娘が主上のために血に染まる。
旺季はそれを嫌がり、千代はそれをもう恐れはしない。
千代を可愛がる旺季を見ていると余計に主上に対して憎しみを広げるのだろう。
優しい男だから。
「たらいまもどりまひた~♪」
主上と栗花落は目が点になった。