第3章 彩歌。
栗花落は秀麗と劉輝に同じく同じ勉強を教えていた。
それを見つめながら千代は微笑む。
劉輝が緊張してチラチラと秀麗を見ていた。勉学では秀でていると思っていたが秀麗が、正解する度目を丸くしている。
千代の後には静蘭がぴっとりと、その後には邵可、それを見て薔薇姫は笑いを堪え死にそうになっていた。
「りゅーきはどうしてそんなにばかなの?」
秀麗の言葉に衝撃を受けている劉輝。
「だ、だって⋯⋯」
「おとこのこでしょう?ないちゃだめっ」
そう言って袖で劉輝の涙を拭う。どちらが年上か分かったものじゃない。
それでも、他人に優しくされるのはあの子にはいい事。
それも、無償で同等に扱われるという意味も知っておくべき。
その逆があることを何れ理解しなくてはならないのだから。
「千代姫、そろそろこちらで休まれてはいかがかのぅ」
その言葉に惜しげに振り返ると、連なるアヒル達に笑みを浮かべていた。
静蘭の手を握りながら、客間に行くと邵可と静蘭がお茶をと居なくなる。
それを見て千代は頬を抓る。
「夢ではないのですねぇ」
「勿論じゃ、千代。満足行った世界はどうじゃ?そなたが望んだ先王が死なぬ世界それも、どうあっても死なぬ世界じゃな」
そろりと話す声に苦笑いを浮かべた。
「えぇ、えぇ⋯とても、幸せなんですよ⋯ビックリすることに」