第11章 才華。
今朝方から。バタバタと何やら宮中を歩き回る戩華。
戩華の様子がおかしい。
栗花落がぼやいたのは府庫の件からふた月後。
殆ど部屋に戻ることはなく、大抵出かけていた。
二週間も戻らず帰ったかと思えば、次の発言だ。
「栗花落、少しここを空ける」
「は?」
何故か眉間を寄せ偉そう。
「そうだな、ここの部屋を掃除しておけ」
「はぁ???」
「そう時間はかけぬ、戻る」
何を言ってんだこの男は。
素早く立ち上がると、部屋の入口で振り返る。
「アレが好きな藍でも置いておけ」
「⋯!?」
そう言って部屋をあとにしていた。