第10章 彩稼。
瑠花は二人に頭を下げる。
「すまない、お前達が帰るまで見張ると言ったと言うのにな⋯すまない、蒼姫、静蘭」
千代の部屋に入る二人、不自然に投げ出されている寝巻き、誰もいない部屋。
千代は居なかった。
「あ、あ、お、お庭、ですね、!きっとお庭で、また、お戯れして⋯あぁ、お迎えに参って⋯」
「蒼姫⋯⋯帰ってしまったのじゃ」
「と、父様や兄様を置いて⋯あの人は」
「あぁ、じゃが、お前の母は変えられた⋯お前はこの世界のものとしては歪過ぎる、静蘭お前は役目があったな、蒼姫を愛すると言う大役が⋯お前達はきっと死ぬまで惑わされることはないじゃろう」
蒼姫は座り込み、ぎゅうっと、荷物をかかえる。
「だって⋯」
小さな子供のようにボロボロと涙を流しはじめていた。
「だって、姫様⋯っわたし、母様に愛されたことないのに、そのまま消えちゃったの?」
「母上はもう、帰らないのですか?前のようにケロッと戻ったりは」
静蘭の言葉に首を降る瑠花。
優しく蒼姫の頭を撫でて、膝に抱える風呂敷を解く。