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【彩雲国物語】彩華。

第9章 番外編2


「はぁ⋯」
「ため息ばかりなんてどうしたのよ」
再会したものの劉輝の事はすっかり忘れていた。なのに何故か栗花落師の事は覚えていると言う悲しみと、独りぼっちと言う悲しみに溜息をつきまくる。
「⋯いや、言えぬ⋯⋯だが、余は寂しくて寂しくて⋯」
「何を言っているの、貴方には絳攸様も楸瑛様も居るでしょう欲張りね」
秀麗の言葉で驚く。
「余は⋯欲張りなの、か?」
「寂しいってことは、寂しくなかった気持ちを知っているからでしょう?それを誰が貴方に教えたかは分からないけど⋯三人も貴方を支えているのよ?これで寂しいって言うなら貴方はやっぱり欲張りさんよ」
「そうではない⋯いや、うむ⋯余を⋯どんな時も余の味方であってくれる人が居ないのは寂しいと」
「どんな時もあなたの味方ならそばに居なくても当然あなたの味方じゃない、なぁにまだ味方を隠していたの?」
「!⋯⋯そう、なの、か?」
「えぇ、そうよ。しかも最強の味方ね、貴方はついているのよ」
「そ、うだ、だって、あぁ、だから余は決めんだ⋯そうだった⋯忘れるところだった」
秀麗は首を傾げる。
「余には愛らしい妹と、美しい母がいる。紫劉輝の味方なのだ」
王ではない味方。
秀麗は微笑み、もう一度最強ねと微笑んだ。

真っ白な貴方に、たくさんの色を。
いつか、黒くなっても、きっと誰かが少しずつ白を与えてまた、綺麗な色に戻れる。

その為の自分の味方。
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