第7章 彩駆。
悠舜は口には絶対出さないがつまらなかった。
あの王に取られるのが、いや、元は王のものなのは理解していた。けれど、あの黎深が守りたかったとハッキリと思うほど、彼女は儚く、優しく、居心地がよかった。
無能とは言わない、だが、あの王は知らない。
愛させることが、愛を受け入れろと言うことがどれだけ彼女を苦しめるか。
旺季様は知っている、王は知らない。
いや、そもそも、正しいのだろう。
それが、王なのだろう。
あぁ、きっとそうだ。
女人は⋯尊重されることは無い。
妃と言えど王にはただの娘。だから、繰り返すのだろう。
何度も何度も。
何もかも分かっていながら、微笑んで受け入れる彼女が恐ろしく、尊敬する人になった。