第7章 彩駆。
「王様、お久しぶりですね」
「お前は⋯栗花落まで、騙したのか」
「なんの、ことです、か?栗花落様と御婚約はいつでしょうか?赤様がお産まれなんですよね」
力が強くなっていた。それは、言葉で事実を捻じ曲げるような。そんな、力。
千代は、本当を言わない。
彼女の、本当の姿を知るのはこの世界の藍家の三人と⋯⋯⋯彼女に呪いをかけた紫戩華。
ただ、それだけなのだろう。
「王様、もう、私は不要でしょう?」
彼女の筋書きは誰もが、付け入る隙は無い。
劉輝は栗花落に懐き、清苑は紅家に。
稚児は栗花落に、全てが収まっている。
綺麗に。
そして、妙案である今。
この娘にそうだと言えばいいだけ。
そして、この娘は唯一知らない事がある。
『王!!!!なら、さっさと栗花落様を御婚約されたら宜しいではありませんか!!!』
『へ!?私にくださるのですか?』
『戩華、に、似合いますか』
『いっ、たぁ⋯げぇ⋯主上いつからそこに⋯』
『なりません、主上。ボクはそれを赦しません』
『見せてくださいっ!?これは⋯っ清苑ですね、貴方は⋯この、バカ!』
『私に呪いを⋯?⋯⋯馬鹿ですね⋯愛しています⋯王と戩華だけの優しいただ一人の王妃を⋯私は護ります。そして、何処かの未来で、二人の愛を世に自慢するのが私の計画ですから。』
初恋を親愛だと、自分を騙し、ずっと生きてきた。
『さ、、時間です主上。貴方は死ぬのでしょう?私はあなたが死ぬのを見たくは無いの。だから、殺して戩華。誰よりずっと愛していますよ』
何度も王に殺される。
愛していると呟きながら。
彼女が初めて人を殺した時泣いていた。それが悔しく苦しかった。そんな姿をもう見たくなく、栗花落を側に置いた。
次は泣かずに堪えた、それを知って彼女を駒にした。
彼女はこの違いを学んでどんどん自分を殺して行った。
何の感情も無く人を殺せるようにしてしまった。