第8章 裁判
「『待て、しかして希望せよ』、でしょ?」
「クハハハ! その通りだ、マスター! この土地の地脈は、どこもかしこも摩耗しきっているが、可能性がゼロということではない。それに、元凶さえ消滅させれば、僅かではあるが、確率は上がる。可能性があるのならば、賭けをする価値は充分にあるということだ! ――――――待て、しかして希望せよ。」
アヴェンジャーの言う通りだ。僅かにでも可能性があるのならば、リターンが得られるかもしれない。
待て、しかして希望せよ―――――。久し振りに聞いた、アヴェンジャーの口癖。その言葉は私の胸に、確かに温かさを残して、溶けていった。