第7章 巌窟王
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アヴェンジャーと私。双方ともに魔力の消耗が激しかったために、今日の探索はここまでとした。あと数時間もしないうちに、陽が落ちてしまうのも理由だけど。
「つ、疲れた~……。」
教会に着くやいなや、私はへたり込んだ。
「アヴェンジャーも、お疲れさま……。」
座ったまま、アヴェンジャーへ声を掛けた。
「床に座るな。まったく……。」
そう言いながら、アヴェンジャーは私に手を貸してくれて、ベンチへ座らせてくれた。アヴェンジャーの方が疲れているだろうに、申し訳ない気分になった。
「あ、ごめんなさい、アヴェンジャー。」
「そう思うならば、床になど座るな。」
呆れたように、アヴェンジャーが言った。ご尤も過ぎて、何も言い返せなかった。
「先に、ご飯食べていい? 食べられる時に、食べないと、でしょ?」
「クハ、良い心掛けだな、マスター。」
アヴェンジャーに言われたことを思い出しながら、立ち上がった。しかし、疲れているのに急に立ち上がったためか、軽い眩暈がして、私の体はふらついて、自分で自分の足を踏んでしまい―――――、
「! ひゃあっ!?」
そのまま倒れる――――と思ってぎゅっと目を瞑ったところで、私の体は強く引かれて……ん?
「……?」
目を開けると、私の視界は黒に染まっていた。痛みは無い。
「……。」
顔を上げると、私を見下ろすアヴェンジャーの顔があった。
「ひゃあっ!?……あ、その……。」
あぁそうか、アヴェンジャーが私を支えてくれたんだな、と理解したところで、自分の顔に熱が集まってくるのを感じた。
「あ、その……、え、あ、ありがとう、アヴェンジャー……。」
何だか緊張する。
「クハハ! 先ほどは自分から俺に抱き付いておいて、今度はどうした!」
アヴェンジャーは、私から体を離しながら、からかうようにして言った。
「い、いや、あの時は、その……! 勝てたっていう、喜びがあって……!」
ドギマギしながら、何とか言葉を返す。そう、さっきは、勝てたことに興奮したから、その感情のままに抱き付いただけで……って、私は何を考えてるのか。アヴェンジャーは、あくまでも私の『サーヴァント』なのに。……そう。一介の『サーヴァント』なのだ。それだけだ。……そう、それだけ。