第6章 信頼
「この程度で、俺のマスターの命を狙おうとはな。」
「ありがとう、アヴェンジャー。」
「この程度――――、と言いたいところだが、今の判断はなかなかだったぞ、マスター。」
アヴェンジャーはそう言って、笑みを浮かべた。その瞳からは、私に対する確かな信頼が感じられて、それがこの上なく心地良かった。私は、この信頼に応え続けたい。
「うん! 次もよろしく!」
「無論だ。」
そのまま、『未確認座標X-B 爆心地』を抜ける。さすがに、『変動座標点0号』に近づいているだけの事はあり、道中の敵も多くなってきた。それでも、私のやることは変わらない。過去のデータも参考にしながら、生き残るための最適解を探る。迷うな、進め。 ――――そう自分に言い聞かせて、アヴェンジャーと共に戦場を駆ける。ここに来たときは、あんなにも怖かった。カルデアとの通信を断たれ、5人のサーヴァントを失い、自分が『マスター』でなくなるかもしれないと恐れ、実際に敵に殺されかけた。そんな私を護り、支えてくれたアヴェンジャーに、今度は私が報いる番だ。