第26章 What is your dream ? #9
「おはようさん…みんな揃ったね?良く眠れたかい?」
台所から顔を見せたお祖母ちゃん。
「うん、眠れたよ」
雅紀だけが返事をした。俺は何となく返事をしづらくて智くんと目が合うと智くんは僅かに苦笑した。やっぱり智くんもそうだよね。
お祖母ちゃんが用意してくれた朝ごはんを食べみんなで片付けをする。
洗い物をしている俺と智くんのところへ雅紀が追加の食器を持ってきた。
「これもよろしくね」
「おぅ、まかせろ」
「ねぇ大ちゃん、今日の練習は何時からにするの?」
「ん?まだ8時前だろ?着替えてもあるから8時半出発とかでいい?」
「うん、俺たちは平気だけど、翔ちゃんツラくない?」
「え?なんで?俺も全然間に合うけど?」
俺、いつもそんなに用意遅かったっけ?雅紀に気にされるなんて。
「いやそういうことじゃなくて、身体がキツいんじゃないかと思って…昨日結構無理したんじゃないの?」
「え…」
「やっぱ聞こえてた?」
俺の隣で智くんが苦笑する。
「俺は聞こえてないよ?イヤホンして音楽聞いて寝たし。
でもあっちのふたりには聞こえてたみたい…」
「え?なに?聞こえてたってまさか…」
「もちろん翔くんの可愛い声」
一瞬頭が真っ白になった…可愛い声って…
「………いぃやぁあぁ~!」
顔を手で覆ってしゃがみこんでしまった。
恥ずかしい…なんてこと!智くんが『みんなもう寝ちゃったよ』って言うから信じちゃった。
しかも凄く気持ち良くて途中から声抑えるの無理だったし。
さっきのニノのよそよそしい態度はそういうこと?