第5章 *一番大きな感情編* 完結
【え? 彩ちゃんと雪君がですか…?】
二人の名前が管理人さんの口から出てきて、俺は立ち止まった
…どうやら管理人さんは誰かと話しているようだ
【あっはい…。 来年で十二歳になりますが…?】
十二歳…。 十二歳になったらここを出ていく
それがこの施設の掟
出ていくというか、管理人さんが探してくれていた人の所へ行くらしいけど
俺は余所で世話になるなんて真っ平ごめんだ
俺は耳を澄ませ、管理人さんの会話に集中した
【…水底の民? あのごく希に特殊能力が目覚めるという…?】
は? 特殊能力…? 水底の民…?
二人が? 彩と、雪が?
よく分からなかったけど、"特殊能力"と聞いただけで凄そうなのはよく分かった
【いえ…。 今のところは彩ちゃんも雪君も普通の子と変わりませんが…?】
…今のところ……という事は、もしかしたらいずれ特殊能力に目覚めると…?
…耳が尖っているのは、特殊能力者だという証拠なのか…?
【……えぇ!!?】
突然驚きの声を上げた管理人さんに俺は心臓が飛び出そうなほどビックリした
…いや、心臓が飛び出そうなほどとは大げさすぎたな…
…今はそういう問題ではない