第26章 攻略再開
本当は痛くてたまらなかった。
それでも…それを押さえ込むしかなかった。
それを殺さねば、死んでいた。
常人なら自殺するほどのそれを、彼女は越えてきたから。
でも決して、『乗り越えた』というわけではなかった。
今という時を耐えて耐えて、ようやくここまで辿り着いただけなのだということを理解した。
クレハ「ケイト…」
ケイト「私は、クレハみたいに強くなれない。
私を強く信じてい続けることなんて、私には出来ない;;」
そっと頭を撫でると、震えが増した。
人の温もりさえにも恐怖を抱くほど、それは鮮烈だったのでしょう。
飢える一方で、失うことが怖い、そしてあのような暴虐をされることが怖い。
その矛盾した両方を彼女は抱いている。その身に経験している。
だからこそ起こり得たのだと理解した。理解したのですが…
違う!
クレハ「ケイト…私は、あなたが羨ましかった」
ケイト「…え?」ぐすっ
驚きに目を見開いて見つめてくる中、私は話した。
当初に抱いていた想いを。
クレハ「何故これほどまでに強いのか、何故あれほど強く人の幸せに為に動けるのか…
私には出来ないことを、あなたは難無くこなしてきた。
リアルであった、普通の料理…あなたはそれを再現するだけでなく、提供までし出した。
皆、自分のことで手いっぱいだったというのに…それほどのことをあなたは成し遂げた」
ケイト「でもそれは…私欲も含んでて」
クレハ「あなたは、私にはない部分がある。
そしてそれは、あなたにしかない強みです。
人を笑わせ、安心させ、居場所を与える。
言葉にすれば簡単ですが、実際にそれができる人は非常に少ないのが実状。
ことさらに、デスゲームとなった今においては特に。
その中でもあなたは、人の為に尽くし、頑張った。
私の知る中では、最強に強いですよ。本当に。
だからこそ、私は突き動かされたのです。ここで強くなろうと」